中国において当局から「お茶に誘われる」のは、たいてい良くないことである。非難、抗議、ひいては取り調べを受けることを意味するからだ。
私も昨秋の北京着任以来、中国政府から何度もお茶に誘われた。その度に相手はまじめな顔でこう言い放つのだ。「藤本総局長、あなたには失望した!」
何かと思いきや、要するに、着任後も産経新聞の中国報道の論調が厳しいままだというのである。当たり前ではないか。随分と見くびられたものだ。
今度、お茶に誘われたら同じ言葉で言い返してやろうと考えている。ほかでもない、ノーベル平和賞受賞者で民主活動家の劉暁波氏の死去のことである。
死後も自由を認めず、多くの親族や知人の参列を阻止して極秘に告別式、火葬、そして遺骨が残らないよう「海葬」を強行。最後に実兄に記者会見させ、当局へ礼を言わせる-何と破廉恥なことだろう。
これが、米国に代わってグローバル化の旗手を自任し、ウィンウィン(相互利益)の広域経済圏構想「一帯一路」をほほ笑みながら世界にアピールする大国の素顔なのだ。