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子供たちと手をつないで出かける子煩悩な父親が、なぜ自宅に火を放ったのか-。宮城県登米(とめ)市迫町佐沼で7月初めに発生した放火事件では、自宅に放火したとして現住建造物等放火容疑で会社員、島谷嘉昭容疑者(40)が逮捕された。県警は殺人罪での立件も視野に捜査を進めていたが、仙台地検は殺意を認定せず、放火の罪のみで起訴した。犠牲になったのは31歳の妻と3歳の長女、そして1歳の次男。いずれも焼死だった。近所でも仲良しと評判の幸せそうな家庭に何があったのか、真相はまだ見えない。
県警の調べによると、7月4日午前2時半ごろ、妻の携帯電話から、「家が燃えている。子供が2人いる。夫は出ていった」と悲痛な声で110番通報が入った。警察官が駆けつけたとき、もう家は火の海だった。通報した妻の姿はなく、焼け跡から遺体で発見された。目撃者によると、同居する島谷被告の父が、焼け出されて寝間着姿のまま、周囲の人に「申し訳ありません」と頭を下げていたという。
島谷被告は、犠牲になった妻と長女、次男に加え、祖母や両親ら計7人と同居する8人の大家族だった。
島谷被告は車で逃げ出したが、火に包まれた自宅が気になったのか、戻ったところを発見され、警察官の制止を振り切って逃走。追跡を受け、市内の路上で車内にいるところを逮捕された。調べに対して自宅に火を付けたことを認め、呼気からは基準を超えるアルコールが検出された。