まずは閣僚として成果を上げてからだろう。野田氏が、東京都の小池百合子知事と近いこともプラスになりそうだ。
河野氏は長く、「党内左派の首相候補」と言われてきた。世代的には、岸田氏の次の世代だが、東アジア情勢が緊迫化するなか、外相として突出した存在感を発揮できれば「万が一」もあり得る。
一方、石破氏率いる水月会(19人)は、斎藤健農水相以外はポストは回ってこなかった。政策通として知られ、当選3回の斎藤氏を大抜擢(ばってき)し、石破氏を牽制(けんせい)したという見方もできる。
安倍首相は、石破氏に近かったが、水月会には参加しなかった2人(小此木八郎国家公安委員長、梶山弘志地方創生担当相)も入閣させた。
一連の人事は、単なる「脱お友達」「仕事人」というだけでなく、よく考え抜かれた巧妙なものだ。「人事の佐藤」と呼ばれた、安倍首相の大叔父、佐藤栄作元首相の老獪な手腕を参考にした形跡もある。
今回の人事で、「ポスト安倍」をめぐる党内力学はどう変わったのか。
政治評論家の伊藤達美氏は「禅譲を期待する岸田氏と、『反安倍』を鮮明にした石破氏との争いになるだろう」といい、続けた。