主張

牛肉セーフガード 守られるのはだれなのか

 米国産などの冷凍牛肉の輸入が急増したことを受け、政府が通常は税率38・5%の関税を来年3月末まで50%に引き上げる緊急輸入制限(セーフガード)を発動した。

 世界貿易機関(WTO)で認められたルールに基づき、国内の畜産業を輸入から保護する目的で定められた措置だ。

 一定量の輸入増という基準を満たし、自動的に発動したという。だが、これには米国が反発し、パーデュー農務長官は「日本との重要な貿易関係を損なう」との声明を発表する事態となっている。

 首をかしげるのは、本当のところ、だれの利益を守る措置なのかが明確にみえない点である。国内的なメリットは乏しいまま、日米の経済交渉を難しくしている。そんな側面はないだろうか。

 発動手続き自体に問題があるわけではない。ただ、輸入制限による保護にどれほどの緊急性があるか、釈然としないのである。

 制度ができたのは20年以上も前だ。多角的貿易交渉(ウルグアイ・ラウンド)で牛肉の関税引き下げに応じたのに伴い、輸入急増に歯止めをかける緊急措置として導入した。14年ぶりの発動だ。

 今回の輸入増の背景には、オーストラリア産が干魃(かんばつ)で値上がりし、米国産の調達を増やす動きが強まったことなどがある。4〜6月の輸入量が前年同期より17%以上増え、発動基準を満たした。

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