北朝鮮が大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射を重ねる中で、より明確になった点がある。
北朝鮮への圧力を高めようとする米国や日本などの動きを批判、牽制(けんせい)する中国やロシアの姿勢のことだ。
表向きは北朝鮮を批判しながら、緊張状態が生じる原因は米国などの軍事活動にもある、などと主張している。
それは、核・ミサイル開発を進めさせ、米国や日本に脅威がもたらされる現状を事実上放置しようとするに等しい。
北朝鮮の振る舞いが、世界の平和と安定を乱している。その共通認識を踏まえ、国連安全保障理事会は中露を含め、対北制裁決議を重ねてきた。
問題は、その一方で中露が北朝鮮を経済的に支え、平然としていることである。中国は北朝鮮の対外貿易の9割を占める。制裁と支援を同時に行うのが矛盾であることは、誰の目にも明らかだ。
中国は北朝鮮産石炭の輸入を停止し「安保理決議履行」と宣伝しながら、民生目的のみ認められる鉄鉱石輸入を大幅に増やした。
ロシアは貨客船「万景峰号」の定期航路を開くなど北朝鮮の外貨稼ぎに手を貸している。金正恩政権への影響力を強め外交カードにする狙いだろう。