■7月30日
またオレの話かと天国で苦笑いされそうだ。全国高校野球選手権の福岡大会を前に、4月に誕生した中間仰木彬記念球場の話をここで書いたが、その仰木さんの母校、東筑が21年ぶり6度目の夏の甲子園出場を決めた。
私立の強豪がひしめく福岡で、県立高が出場するのも前回1996年の東筑以来。5回戦から九産大九州、福岡工大城東、西日本短大付と名だたる私立校を立て続けに破り、決勝ではセンバツ8強右腕、福岡大大濠の三浦銀二投手(3年)から1本塁打を含む7安打で3点を奪った。
地元放送局の実況でも何度も触れていたのが「石田伝説」だ。過去5度の出場のうち、3度はエースが石田姓。今回も右横手投げの石田旭昇(あきのり)投手(2年)が全7試合に先発して完投。昨夏は初戦敗退だったチームを頂点に導いた。
1898(明治31)年開校で、スーパーサイエンスハイスクールに指定されている進学校。1953年の甲子園初出場時のエースが仰木さんだ。96年に石田泰隆投手を擁して出場した際、オリックス監督だった仰木さんに感想をお願いすると、「モヤシみたいなヒョロヒョロばっかりや」。その仰木さんは1回戦で敗れているが、モヤシ軍団は見事に初戦を突破した。
入学時から「石田伝説」をプレッシャーになるぐらい聞かされたという石田旭昇投手。1年時に横手投げに変え、今年5月の招待試合でセンバツ出場の日大三(西東京)を完封して期待が高まっていた。東筑の校歌は国学者で詩人の折口信夫作詞、「海ゆかば」「海道東征」の信時潔作曲。仰木さんは歌えなかった♪よきかな東筑-の印象的なサビを、ぜひ勝って歌ってもらいたい。 (親谷誠司)