背景を知るともっと面白い 「怖い絵」展が22日開幕 兵庫県立美術館

ジョン・ウィリアム・ウォーターハウス 
《オデュッセウスに杯を差し出すキルケー》 1891年 油彩・カンヴァス オールダム美術館蔵
(c)Image courtesy of Gallery Oldham
ジョン・ウィリアム・ウォーターハウス  《オデュッセウスに杯を差し出すキルケー》 1891年 油彩・カンヴァス オールダム美術館蔵 (c)Image courtesy of Gallery Oldham

【美と遊ぶ】

 □特別監修・中野京子さん 見どころは

 ■「恐怖」には、多彩な顔  

 「恐怖」をキーワードに2007年、ドイツ文学者、中野京子さんが上梓(じょうし)した「怖い絵」は、西洋美術史に登場する名画を読み解く著書として大きな反響を呼んだ。それから10年。中野さんが紹介した絵画、版画などを中心に「恐怖」の切り口で選び出した傑作を集め、7月22日から神戸市の兵庫県立美術館で開かれる「怖い絵」展はこの夏、大きな期待を集める企画展だ。開幕を目前に控え、特別監修者の中野さんに、みどころなどを聞いた。(構成 正木利和)

 ■1 背景を知れば   

 わたしが絵について書き始めたのは、通信社や雑誌で連載を依頼されたのがきっかけです。反響が大きく、手応えを感じました。以前から、感性だけの鑑賞は楽しみを損なうと思っていたので、絵の背景を知るともっと面白くなりますよ、ということを伝えたかったのです。「怖さ」というキーワードを入れたのは、恐怖を知らない人はいないし、恐怖には多彩な顔があるからです。ある意味、生きているそのこと自体も怖いし、人間によって生み出された芸術も怖さを孕(はら)んでいると思います。

 小さなころから家にある画集を見るのが好きでした。田舎の町だったので海外の作品展などはなく、本物の西洋名画を見る機会は少なかったです。でも大学に入ってからは、欧米の有名どころの美術館にはほぼ全て行きました。そのうち翻訳の仕事をしながら、オペラの著書を出すようになります。イタリアオペラ、特にヴェルディが好きなのですが、彼の伝記などを読み、「オテロ」をパリで上演する際の苦労を知りました。作品中にバレエのシーンを組みいれるよう要求され、しぶしぶ妥協せざるを得なかったのです。バレリーナのパトロンが力を振るっていたせいです。19世紀のパリのオペラ座の腐敗ぶりに驚きました。それがまさにドガの「エトワール、または舞台の踊り子」の世界です。ところがそのころはどんな美術の本にも、踊り子の後ろに立っている男の存在には言及していませんでした。バレリーナが当時は下層階級の少女たちだったと書いてあるものも、少なくともわたしは読んだことがなかった。画面上の構図がどうとか、タッチや色彩がどう、画家が何派に属しているか、ということばかりです。なぜ書かないのだろう、書いたらあの絵はずっと深みが増すのに、と残念に思ってました。それでとうとう自分で書くことにしたのです。

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