がん患者の免疫力を活性化し治療効果を高める新たながんワクチンを、急性骨髄性白血病の患者に投与する治験について東京大と理化学研究所は5日、患者の募集を始めたと発表した。従来と比べ効果の持続と向上が期待できるという。
免疫には人が生まれつき備えている防御力の「自然免疫」と、病原体などの特定の物質を見つけると攻撃用の細胞を作る「獲得免疫」があり、がん患者では両方の機能が低下する。
従来のがんワクチンは、がん細胞だけが持つ目印の物質を投与し獲得免疫を活性化していたが、短期間しか効果がなく、目印の物質を持たないがん細胞は攻撃できない課題があった。
これに対し新ワクチンは人工細胞に目印物質を作る遺伝子と自然免疫を高める糖脂質を導入。両方の免疫が活性化し全てのがん細胞を攻撃でき、獲得免疫は1年以上持続するという。
理研の藤井真一郎プロジェクトリーダーは「治療効果が飛躍的に向上するだろう。目印物質を変えれば他のがんにも利用できる」と話す。
治験は約1年で患者9人を対象に同大医科学研究所付属病院で実施。今週中にも同病院のホームページに詳細を公表する。