先行されても、拙速な攻めに武運を委ねたりはしない。「相手が攻めてきたらカウンターで投げる。一番自信のある技です」。相手が前に出てこなければ-とは考えない。グレコローマン59キロ級を制した文田は、根が楽観的にできている。
1点を追う決勝第2ピリオド終盤。決着を急ぎ前に出た太田を組み止め、カウンターで投げ捨てた。昨年末の全日本選手権に続きリオデジャネイロ五輪銀メダリストを連破し、今夏の世界選手権に文句なしの代表入りだ。
カウンター狙いは相手も策を立てやすい。「ずっと通用するとは思わない」と、いずれ改良版に取りかかるつもり。初の大舞台に抱負を問われ、「ふがいない結果だと日本の59キロ級が低く見られる。結果を出したい」。
未完の技を補う肝の太さもこの若者の強みである。(森田景史)