テロ等準備罪を新設する組織犯罪処罰法改正案が29日、参院で審議入りし、終盤国会の与野党攻防は一気に本格化した。民進党が攻撃材料に据えるのは、改正案への懸念を示した国連特別報告者書簡と学校法人加計(かけ)学園問題の「二枚看板」だ。だが、追い風はおいそれとは吹かないようで…。(松本学)
「今が攻めどきだ!」
民進党の榛葉賀津也参院国対委員長は29日の党参院議員総会でこう気炎を上げた。直後の本会議では、報道キャスターとしてならした真山勇一氏を投入し、2つの案件を前面に打ち出して政府を責め立てた。
真山氏は、学園理事長が安倍晋三首相の友人であることを念頭に「国の政(まつりごと)を私物化する政権の振る舞いに多くの国民が驚き、あきれ、怒っている」と断じ、返す刀で「国連特別報告者のケナタッチ氏が懸念を表明している。誠実に回答すべきだ」とたたみかけた。
もっとも、こうした手口は、首相には分かりきっていた。学園の大学獣医学部新設計画が旧民主党政権時代に「格上げ」された経緯を説明した上で、皮肉たっぷりに言い返した。
「獣医学部新設という半世紀ぶりの改革に向けて、民主党政権においても大変ご苦労されたものとお察し申し上げます」
さらに、続けて「安倍内閣はいかなる抵抗勢力にも絶対に屈することはない。政局目当てで既得権益に妥協したり、抵抗勢力と手を結ぶようなことは決してしない」と語気を強めた。