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米を磨くほど上質なうまい日本酒になる。そんな大吟醸神話の逆を行く「低精米酒」に注目だ。玄米を半分以上も磨く(削る)大吟醸酒に対し、8、9割方残す白米ほどの精米歩合。米の外側のタンパク質が酒の雑味の原因とされているが、それもまるごと「旨(うま)み」ととらえる新概念だ。未知の味を試してみると…。(重松明子、写真も)
ほろ苦い水田?の風味
やや黄色がかる酒を口に含んだ。まず、辛みがドーン。燻(いぶし)たようなほろ苦い水田?の風味が舌に留まり、余韻が後をひく…、こんな日本酒初めて。用意していた干物を下げ、赤身のステーキを焼いて合わせると絶妙! フルボディーの赤ワインに近いかも。
伊勢丹新宿本店で見つけた低精米酒を自宅で賞味した衝撃が忘れられない。「獺祭(だっさい)」のように20%近くまで米を削った酒がもてはやされる中で、「90%」「80%」と表記した瓶が並んでいた。「単に削らないのではなく、上質なお米で作った純米酒であることが低精米酒の大前提。食事に合う個性的なお酒としてここ1、2年、注目しています」と担当アシスタントバイヤーの倉友桐さん(27)。購入層の中心は、日本酒を飲み尽くしてきた中年男性という。