京都大は、岡山大や国立研究開発法人中央水産研究所(横浜市)などと共同で南米・チリの赤潮対策プロジェクトを発足させると発表した。チリ沿岸部の海域では昨年赤潮が発生し、日本企業なども生産を行う養殖サーモンが大量死しており、赤潮対策にノウハウがある日本側が現地での支援に乗り出すことになった。
プロジェクトは独立行政法人国際協力機構(JICA)などの研究事業。今年6月から現地調査を始め、平成35(2023)年3月までに、チリでの赤潮の発生メカニズムの解明や赤潮の発生予測などを研究。チリ政府や漁業団体などに赤潮被害の軽減策などを提言していく方針。
京大によると、チリ沿岸はもともとサーモンが生息しない地域だったが、JICAが研究を始め、日本の食品会社「マルハニチロ」が海面養殖に成功したことで、養殖が盛んになった。現在は三菱商事や三井物産、日本水産などが養殖事業を行っているという。
昨年の農林水産省統計では日本のサケ・マスの輸入量の57%がチリ産。昨年の赤潮ではチリの養殖サーモンで1千億円規模の損害があり、今後も被害が続けば、日本の食卓に影響が出てくる可能性がある。
プロジェクト代表で京大医学研究科の丸山史人准教授(環境微生物学)は「赤潮の発生原因は日本とは異なる。大量死したサーモンのエラには藻が大量に詰まっているとの報告があり、今後の研究で原因を探りたい。赤潮対策を提言することで、現地での日本の存在感を高めたい」と話した。