スピードアップのための工夫は、ダイヤや運行方法にもあらわれている。
大正9年、「綺麗(きれい)で早うてガラアキで」をキャッチコピーに阪急神戸線が開通し、梅田-上筒井(神戸)間を50分で運行を始めた。一方の阪神は先行して明治38年に開業していたものの大阪-神戸間は当時60分かかったため、4分ごとに急行や特急、普通を運行させる「頻発運転」で対抗した。
尼崎駅(兵庫県尼崎市)での乗り継ぎは、そうした阪神らしさが存分に発揮されている。特急待ちの普通電車の両側の扉を開けて通り抜けられるようにし、なんば線と本線との乗り継ぎをいったん階段を下りて再び上るという手間なくできるようにしている。
きめ細やかな配慮と、創意工夫で対抗していく伝統は今も続いている。