【住まいの処方銭】
親が他界した後の実家…。形見分けをしようにも遺族が集まる機会がない。そこで最近、増えている遺品整理業者への依頼がある。だが、トラブルは増加傾向だ。
国民生活センターにも昨年11月、苦情が寄せられた。
「インターネット上で2トントラック5万円で詰め放題をうたっていた業者に依頼した人が、2台トラックがきて40万円を請求された。「『広告と違う』と訴えたが『半額に下げる』と言われ、支払った」
遺品整理業に、資格や経験は不要。インターネットや雑誌に広告が掲載されていても、実績ある優良企業とはいえない。
(一社)遺品整理士認定協会(北海道千歳市)は「高額請求や追加料金など費用を巡る問題が少なくない」と話す。同協会は、遺品整理の専門家の育成を目的に法知識や手順などを身につけた「遺品整理士」資格を認定する団体だ。同協会によると、昨年、遺品整理業者が許可なく、不用品を運び、摘発された例があるという。
遺品整理業は、引っ越しやリサイクル業に似て非なもの。故人や遺族の思い出の詰まったものを扱ったり、隠れた貴重品が出てきたりする特殊な事情があるからだ。故人への尊厳も必要になる。