恐怖政治の極まりを印象づけていないか。
北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長の異母兄、金正男氏が、マレーシアの空港で暗殺された。
正恩氏は、実力者とみなされていた叔父の張成沢氏ら幹部を相次ぎ粛清した。それを主導した金元弘国家保衛相が先月失脚し、多くの同省幹部も処刑されたという。
若い指導者として、頼みにしていた人物さえ信用しない。正男氏が北朝鮮で影響力を持っていたとは思えないが、「政敵」としてとどめを刺したのだろうか。
確かなのは、著しく常軌を逸した体制とその指導者が日本のすぐ近くに存在し、核・ミサイルをもてあそんでいることである。
恐怖政治による体制維持はこれ以上、可能なのか。国際社会は重大な警戒心を持ち、さらなる暴走や崩壊に備える必要がある。
日米首脳が同盟を確認しあうさなかに、北朝鮮は中距離弾道ミサイルを発射した。国連安全保障理事会が非難声明を出すと「全面的に排撃する」と反発する。
対外的な宣伝戦のさなか、第三国で政敵が暗殺された。北朝鮮の手によるものとすれば、残忍なテロ国家の本性がむき出しだ。
注目される出来事は、北朝鮮のテ・ヨンホ元駐英公使が最近、亡命したことである。