「端島について書かれた本を読むと端島が(ナチス・ドイツによる)アウシュビッツ収容所と同一だと書いてあり、頭にきた。本に書いてある嘘を暴いて、これが真実であると国内外に言わなければいけない」
「朝鮮人労働者が虐待されたという話ばかり。欺瞞と虚偽と誇張に塗り込まれた記事が横行していることに憤りを感じる」
「日本は事実を明確にして反論しなければいけない。慰安婦問題もそうだが、日本は事なかれ主義できたが、もう少し毅然と事実を明らかにして言うべきことは言うという姿勢で臨んでいきたい」
「韓国では端島を『監獄島』『地獄島』と言っているそうだが、われわれはそんなところに住んだ覚えはない。日本で重い罪を犯して無期懲役を受けた者が軍艦島に来ていると書かれているが、私たちは違う」
真実を伝えるには、端島で生まれ育った自分たちが口を開くしかない。こうした思いに突き動かされた元島民たちは「真実の歴史を追求する端島島民の会」を1月23日に設立した。
当時のことを記憶する元島民たちの証言を動画で記録するなどして、後世に「正しい端島の歴史」を伝える考えだ。
炭鉱労働者たちの証言記録を集めている内閣官房参与の加藤康子は会合で「皆さんの一次証言や一次資料が何よりも一番重要な真実を語る。それをそのままの形で残していきたい」と述べ、元島民や家族に協力を求めた。
=敬称略
(有元隆志、田北真樹子)
◇
【用語解説】朝鮮人徴用
端島など「明治日本の産業革命遺産」のユネスコ世界文化遺産登録をめぐり、韓国側は「強制労働」という言葉を盛り込もうとした。だが、徴用は国民徴用令に基づいており、当時の国際法上違法ではなかった。そもそも請求権問題は、1965年の日韓請求権協定で最終的に完全に解決済みである。ただ、日本側は韓国に配慮し「朝鮮半島などから多くの人が意思に反して連れてこられ、厳しい環境で労働を強いられた」と表明した。