■2月2日
昨日のこの面には、米アリゾナ州のキャンプ地でキャッチボールを行う日本ハム・大谷翔平の写真がドーンと載った。心配された熱も下がり、視察に訪れた日本代表の稲葉篤紀打撃コーチが「非常に元気そう」とWBCでの二刀流に期待し小欄も安心したが、その後事態は急転。「投手として出場しない」と栗山英樹監督が明言した。
昨年の広島との日本シリーズ第4戦で一塁ベースを駆け抜けた際に痛めた投手としての軸足の右足首を、その後の代表強化試合で再度痛めた。「体の状態が悪い。ふつうにいっても(公式戦の)開幕に遅れるくらい」と栗山監督。野手としてなら「WBCに、もしかしたら間に合う」という。
はじめに大谷ありきの「侍ジャパン」。金看板ともいえる選手のけが情報を昨年12月の選手選考の際、代表側が把握していなかったとしたらお粗末だ。あるいは日本ハム側が何の報告もしなかったのか。両者の間にコミュニケーションが全くなかったのでは、と思われても仕方ない。
既に3月7日、キューバとの1次リーグ初戦の先発は本人に伝えられていたという。ポッカリ開いた先発投手陣の穴をどう埋めるか。それはともかく、一つ言えるのは大谷の将来を思えば賢明な判断ということだ。かつて内転筋の故障をおしての強行出場が、その後のピッチングに大きく影響した松坂大輔の例もある。
WBCで投げなくても、18年以降のメジャー移籍が確実視される大谷の評価は既に定まっている。「野手なら」といっても大谷には守備経験がない。WBCの間どっちつかずで過ごすなら代表から外れ、チームでじっくり調整する方がファンにとっては望ましいのではないか。 (今村忠)