主張

410円タクシー 利用者本位の競争促進を

 東京23区などを走るタクシーの初乗り運賃が初めて引き下げられ、従来の2キロ730円から約1キロ410円となった。

 海外に比べて割高と批判されてきた初乗りを値下げし、高齢者や子供連れによる「ちょい乗り」で新たな需要を開拓するのが狙いという。利用者の選択肢が広がる料金体系は歓迎したい。

 一方で、6・5キロを超える場合の運賃は実質的に値上げされた。中長距離を利用する乗客が恩恵を受けるような取り組みも、同時に取り入れてほしい。

 この10年で全国のタクシー利用者は約3割減少した。厳しい経営環境を打開するためには多様な料金形態だけでなく、利用者本位の質の高いサービスでも健全に競い合うことが欠かせない。

 初乗り運賃の引き下げは、業界大手の日本交通が昨春に申請したものだ。国土交通省が昨年夏に実証実験を行い、約1万人対象のアンケートでは6割が「利用回数を増やす」と回答したという。

 近距離でも気軽に使える運賃に抑えることで、外国人観光客による新規需要を期待する。高齢者の身近な足として活用される事例も増加を見込む。利用者が気兼ねなく乗車できるように、運転手向けの教育も徹底してほしい。

 ただ業界内には、売り上げ減に対する懸念も根強い。初乗り運賃を下げて近距離利用が増えても、中長距離の乗客が減れば減収になるからだ。これを契機にして「利用者から選ばれるサービス業」として改革を進める必要がある。

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