主張

相模原殺傷報告 刑法の大改革に踏み込め

 二度と同じ悲劇を繰り返してはならない。その強い思いが伝わらない。弥縫(びほう)策では再発を防ぐことはできない。

 相模原市の障害者施設「津久井やまゆり園」で19人が刺殺された事件を受け、厚生労働省の有識者検討チームが、再発防止策を示す最終報告を公表した。

 措置入院した患者を対象に、都道府県知事などが支援計画案を策定し、病院側は患者の退院後の「生活環境指導員」を選任することなど、退院後の継続的な支援が必要としている。

 だが、これが犯罪防止の切り札になり得るだろうか。周囲に見守りの目があることには、一定の抑止効果が期待できる。ただ犯罪への強い欲求を持つ者に有効な措置であるとはいえない。

 容疑者は施設の襲撃を予告する手紙を衆院議長公邸に届けていた。内容を把握した神奈川県警が市に通報し、精神保健指定医の診断を経て、措置入院が決定した。容疑者は入院時も「障害者を抹殺する」などの言動を繰り返し、大麻の陽性反応も認められたが、12日後に退院し、予告通りの惨劇が実行された。

 求めたいのは、入退院の判断への司法の関与であり、退院後の動向把握への警察の介在である。

 検討チームの会合には法務省や警察庁も加わりながら、最終報告に司法や警察の関与については明記されなかった。医療現場や自治体に責任を押しつけるばかりで事件を防ぐことはできない。

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