1分間に10発の速射が実現すれば、中国などによる大量のミサイル飽和攻撃に対処することが可能となる。火砲の砲弾と比べて重量が格段に軽いため大量の弾丸を艦艇に積み込むことができ、補給頻度が少なくなることで作戦展開する時間が長くなる。
つまり、遠くの敵に対し、破壊力抜群の弾丸で素早く大量に長時間攻撃することができるというわけだ。
こうした性能を獲得できれば、アジア太平洋地域で米軍の自由な行動を許さない接近阻止・領域拒否戦略を追求する中国の意図をくじくことにつながる。米海軍研究局がレールガンについて、戦争の様相を決定的に変える「ゲームチェンジャー」と位置づけているのはこのためだ。先端技術の圧倒的な優位を確保することで中国やロシアとのパワーバランスを有利に導く米国の「第3のオフセット戦略」でも有望な分野と目されてきた。
とはいえ、レールガンはなお開発途上にあり、年内に計画されていた米軍による洋上試射が来年以降に遅れるとの観測もある。
「われわれはレールガンを追い求めてきたが、(レールガン用に開発した)超高速飛翔体を火砲から発射してもレールガンとほとんど同じ効果を得られることが判明した」
今年5月2日、第3のオフセット戦略の旗振り役でもあるロバート・ワーク米国防副長官は、ワシントンで行われたシンクタンク・大西洋会議での講演でこう述べた。