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火薬を使わずに長射程、高破壊力を誇り、1分間に10発の速射を低コストで実現する-。そんなSFの世界から飛び出したような新兵器の研究・開発に防衛省が本格着手する。同省が平成29年度予算案の概算要求で研究費21億円を盛り込んだレールガン(超電磁砲)だ。
レールガンは砲身のレールと、弾丸に取り付けられた電気の通り道に当たる電機子に大量の電流を流し込み、磁場を発生させる。これで得られた力が推進力となり、発射方向に弾丸が飛び出していく。火砲で発射時に用いられる火薬は不要だ。
防衛省は155ミリ榴弾砲などに代わりうる兵器開発を念頭に29年度から5年間かけて試作レールガンを作成。秒速2000メートル(時速7200キロメートル、マッハ約5.8)の高速度を実現し、砲身の耐久性向上も目指す。その後は蓄電システムの小型化や、高速の発射に耐えうる超高速飛翔体(HVP)の開発にも取り組み、15〜20年後に実用化を目指す計画だ。
開発で先行する米国のレールガンは、速度がマッハ6(時速7344キロメートル)で、射程は約200キロ。高速度によって得られた運動エネルギーにより爆薬がなくても着弾時に大きな破壊力が得られる。艦載砲、地上砲双方で対地・対艦・対空すべてに活用でき、ミサイル防衛でも中心的役割を担うことが期待されている。