生命保険各社が販売の軸足を貯蓄性の高い一時払い商品から、保険本来の保障性商品に移している。日銀が2月にマイナス金利政策を導入して以降、一時払い商品が値上げや販売停止に追い込まれているためだ。各社は競争力強化に向けて医療、介護保険の拡充や認知症になった場合に保険金が受け取れるなど、特徴のある商品で顧客の取り込みを図っている。
明治安田生命保険は3日、主力の保障性商品「ベストスタイル」の契約が発売約2年で100万件を突破したことを明らかにした。6月に急性心筋梗塞、脳卒中など7つの重度疾病ごとに1回ずつ保険金を支払う特約を追加し販売を伸ばした。
太陽生命保険は3月に認知症保険を発売。病気やけがで入院したことがある人でも加入できるのが特徴で、現在まで8万3千件の契約を獲得するなど「過去最高の契約数の推移」(担当者)という。
このほか、住友生命保険が大手初の就労不能保険、第一生命保険が子会社を通じ健康状態に応じて保険料を割り引く医療保険を発売するなど相次ぎ差別化を図っている。日本生命保険も、がんなどの生前保障を重視した医療保険の販売が女性や若年層を中心に販売を伸ばしているという。
生保各社は、力を入れていた一時払い商品がマイナス金利政策の導入を受けて苦境に立たされている。運用先の大半を占める国債の利回りが一層低下したことで、高い利回りでの運用が困難になり、契約者に約束する利回りである「予定利率」を引き下げざるを得なくなったからだ。
売り上げを牽引(けんいん)してきた外貨建ての一時払い商品も、円高傾向で為替リスクが顕在化し販売が伸び悩んでおり、各社とも本業回帰の姿勢を強めていく考えだ。