大阪の中堅製薬会社、小野薬品工業の業績に注目が集まっている。平成26年発売のがん治療薬「オプジーボ」(一般名ニボルマブ)の売り上げが大きく拡大しているためだ。患者自身の免疫に働きかけてがんを抑える画期的な薬で、現在承認されているのは皮膚がんと肺がんの一部に限られる。だが、他のがんに適用される可能性も高く、心待ちにする患者、医療関係者は多い。同社の動きからしばらく目が離せなそうもない。(阿部佐知子)
ブロックバスターに
「ここ10年ほど低迷していたが、(ニボルマブのおかげで)成長軌道に出られる」。5月に行った決算発表記者会見で、相良暁社長は笑顔を浮かべながらも力強く答えた。同社の28年3月期の売上高は、前期を約250億円上回る1602億円と過去最高だった。
売り上げ拡大を牽引(けんいん)したのは、一昨年に発売したニボルマブ。皮膚がんの一種のメラノーマ(悪性黒色腫)治療薬として登場した後、昨年12月には肺がんにも適用され、昨年度は212億円を売り上げた。想定を上回る好調さで推移したため、昨年4月に発表した売上高見込みは、年度の途中で3回も上方修正を迫られるほどだった。