原告9人のうち7人を水俣病と認定するよう命じた30日の新潟地裁判決の後、訴えを認められた原告代表の50代男性は「納得いく判決だった」と評価した。しかし、棄却された2人については「同居家族に認定患者がいるかどうかで判断が分かれるのは間違っている」と表情を曇らせた。
認定された7人は昨年3月に、国や新潟県、原因企業の昭和電工に未認定患者らが損害賠償などを求めた新潟水俣病3次訴訟(東京高裁で係争中)の地裁判決でも、水俣病と認められていた。
7人には同居していた家族に認定患者がいたのに対し、棄却された2人は父娘の関係で、父はすでに他界している。3次訴訟では、娘は遺族として父の認定を求めたが、家族に認定患者がいないことなどから認められなかった。
今回の訴訟は、「症状が複数でない場合でも認定する余地がある」とした平成25年4月の最高裁判決をきっかけに提起され、焦点は複数の症状の組み合わせを原則とする国の認定基準に対し、司法がどこまで踏み込んだ判断を下すかだった。それだけに、昨年3月の地裁判決と同じ判断が下され、原告側にとっては「一歩前進」とまでいえない判決となった。