【カンヌ=藤井克郎】南フランスのカンヌで開かれていた世界最高峰の映画の祭典、第69回カンヌ国際映画祭は22日(日本時間23日未明)、閉会式が行われ、最高賞のパルムドールには英国のベテラン、ケン・ローチ監督(79)の「I,DANIEL BLAKE」(原題)が輝いた。またパルムドールに次ぐ審査員特別グランプリは、カナダの若手、グザヴィエ・ドラン監督(27)の「JUSTE LA FIN DU MOND(原題)」に決まった。
「I,DANIEL BLAKE」は、心臓病で建具師の職を失った1人暮らしのダニエルが、やはり職を探していた2人の子供のシングルマザー、ケイティ母子と心を通わせていくストーリーで、ローチ監督らしい社会的弱者への優しい視線に貫かれている。ローチ監督は2006年の「麦の穂をゆらす風」以来、2度目のパルムドール受賞だが、記者会見で「ちょっと驚いている。当時と同じチームで作った映画だが、まさか戻ってくることができるとは」と喜びを口にしていた。
このほかの主な受賞作、受賞者は次の通り。
監督賞=クリスチャン・ムンギウ監督(ルーマニア)「BACALAUREAT(原題)」、オリヴィエ・アサイヤス監督(フランス)「PERSONAL SHOPPER(原題)」▽脚本賞=アスガー・ファルハディ監督(イラン)「FORUSHANDE(原題)」▽審査員賞=「AMERICAN HONEY(原題)」アンドレア・アーノルド監督(英国)▽女優賞=ジャクリン・ホセ(フィリピン)「MA’ ROSA(原題)」▽男優賞=シャハブ・ホセイニ(イラン)「FORUSHANDE(原題)」