福知山線事故11年 「会いたいです」最後の姿の現場で…夫を亡くした原口佳代さん

現場マンションの壁に手を触れる原口佳代さん=25日午前、兵庫県尼崎市
現場マンションの壁に手を触れる原口佳代さん=25日午前、兵庫県尼崎市

 夫の浩志さん=当時(45)=を亡くしたピアノ講師の原口佳代さん(56)=兵庫県宝塚市=は25日、事故が発生した午前9時18分に初めて同県尼崎市の現場マンションを訪れた。保存工事で、現在のマンションの姿を見られるのが最後となるからだ。原口さんは現場前を走る電車を見つめ、「あの日も通り過ぎてほしかった。あと少しで駅だったのに」と涙を流した。

 浩志さんは通勤中に1両目で事故に巻き込まれ、帰らぬ人になった。「追いかけたい」。そう思いながら、原口さんは事故の翌月から毎月25日、午前9時18分に事故現場を訪れて花を手向けた。ただ、4月だけは尼崎市内で開かれる慰霊祭に出席していた。

 友人らに支えられ、少しずつ元気を取り戻した。「みんな大切な人を亡くしているんだな」と思えるようになったという。平成25年には最後に夫婦で出かけた長崎県佐世保市のテーマパーク、ハウステンボスを訪れた。

 昨年、周囲への恩返しの思いを込めて、友人らとともに、大切な人を亡くした人を音楽で励ますグループを結成。同3月に神戸市兵庫区の寺で開いたライブでは事故後の体験を語り、「亡くなった人は心の中にいる。命を大切にしてください」と呼びかけた。今年7月には、平成26年8月に70人以上が犠牲になった広島市の土砂災害の追悼イベントを計画している。

 浩志さんと重ね合わせて見続けた9階建てのマンションは、間もなく保存のために4階までにする工事が始まる。「ずっと見続けてきた思い出の場所なので、形が変わることはつらい。でも、保存して事故を語り継いでもらえる」と自分に言い聞かせて納得した。

 この日、午前9時18分に現場で手を合わせた原口さん。通り過ぎる電車が鳴らす警笛に、涙があふれた。そして、初めてマンションの壁に触れ、浩志さんに語りかけた。「助けてあげられなくてごめんね。あなたに会いたいです」

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