広島県府中町の町立中学3年の男子生徒(15)が、誤った万引記録に基づく進路指導を受けた後に自殺した問題で、生徒指導会議用の資料を作った教諭が、実際に万引した生徒の名前を別の教諭から口頭で伝えられたのに、誤って男子生徒の名前を記載していたことが9日、分かった。
■元の電子データを放置…校長「修正する担当者が…考えてなかった」
学校は9日午前、全校集会を開催。坂元弘校長が不適切な進路指導があったことを生徒に説明し、謝罪した。全生徒にアンケートを実施する。
会議は別の生徒による万引があった平成25(2013)年10月に開かれた。誤記した教諭は口頭で報告を受けた際にメモを取っていなかった。「なぜ間違えたのか覚えていない」と話している。
会議の場で間違いが指摘され、出席した教諭らは手元の資料を直したが、校内のサーバーに保存された元の電子データは誤った内容のまま放置された。坂元校長は8日の記者会見で「データを修正する担当者も決まっておらず、考えていなかった」と釈明した。
生徒の自殺後、当時の教諭らの聞き取りから万引をしたのは別の生徒だったことが判明した。町教育委員会によると、非行事実があった場合、通常は指導教諭が反省文や、保護者の意見などの記録をノートに残すが、このケースは残っていなかった。