飼い主側、自転車の〝定員オーバー〟主張
親子側によると、飼い主の男性は「後日謝罪したい」と当日に申し出ていたにもかかわらず、その後音沙汰はなく、謝罪も治療費の支払いもなかった。このため約450万円の損害賠償を求めて昨年5月、大阪地裁に訴訟を起こした。
親子側が問題としたのは飼い主の管理責任だ。「飼い犬と散歩するときは首輪にリードを装着し、飛び出しを防止する義務がある」と訴えた。今回のケースではノーリードに加え、男性が犬を足蹴にしたことも「飛び出しを助長した」と指摘した。
訴訟記録によると飼い犬は雄のトイプードル。当時5歳で全長60センチ、体重4~5キロの小型犬。黒っぽい巻き毛で、まん丸の目が愛らしい印象だ。
訴訟で飼い主側は、リードを装着していなかったことは認めたものの、犬を蹴ったことは否定。さらに「犬は自転車と接触していない」と訴えた。
飼い主側の主張によると、事故当日、犬を現場付近まで抱いていき、その場でリードを装着しようとした。しかし、その前に路上に飛び出してしまったという。
犬は自転車のそばに駆けより、その際に自転車が転倒したが、翌日戻ってきた犬には傷や接触の痕跡がなかった。このため、接触事故は起きていなかったという主張だ。
さらに飼い主側は、自転車のルール違反に言及。当時は夜間だったのにもかかわらず、無灯火走行していたこと、さらに同乗していた娘が当時8歳だったことも問題視。「2人乗りが許容される年齢制限を超えている」と追及した。
大阪府道路交通規則では自転車の定員は原則1人。だが、16歳以上の運転者が幼児1人を幼児用座席に乗車させる場合に限って2人乗りが認められている。ここで言う幼児は6歳未満。親子の自転車はそもそも〝定員オーバー〟だったというわけだ。