生き残りを図るため、難易度の高いドリルシップの建造に注力しているが、経験不足がたたり、顧客から図面変更や製造工程の見直しを求められ、9月中間で特損計上に追い込まれた。斎藤保社長は「知見がないにもかかわらず、新分野の扱いとせず、工事を進めたのが要因」と語り、今後は運営体制を厳しくチェックし、再発防止に努める方針だ。
現在、日本の造船業は円安や排ガス規制の駆け込み需要で新造船の受注は好調で、2~3年分の受注残を確保している。だが、韓国や中国勢が力をつけており、日本勢が生き残るには技術力を高め、難易度が高い建造にチャレンジするしかない。その中で「経験を積み、大きな損失を出さない運営ができるかが重要だ」(大和証券の田井宏介チーフアナリスト)という。
三菱重工が手がける大型客船は、世界でも建造できるのは数社。ドリルシップの建造では韓国勢も苦戦しているという。壁を乗り越えれば活路が見いだせるが、リスクも大きい。3社とも経営全体の足を引っ張る造船事業をどう位置付けていくのかが改めて問われている。(黄金崎元)