三菱重工業、川崎重工業、IHIの重工3社が船に泣かされている。各社とも航空機事業が好調な一方、大型客船や海底油田で掘削を行うドリルシップ(資源掘削船)を建造する造船事業で特別損失を計上、業績の足を引っ張っている。日本の新造船は排ガス規制の駆け込み需要や円安を追い風に受注が好調なのに、なぜ重工3社は船に苦しめられているのか…
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長崎湾に面する三菱重工長崎造船所の香焼工場(長崎市)で「洋上のホテル」と呼ばれる豪華客船が建造されている。約12万5000総トン、長さ約300メートル、幅37.6メートル、約3300人乗りで、三菱重工にとって約10年ぶりとなる大型客船の建造にあたる。同社は2011年に米カーニバル傘下の「アイーダ・クルーズ」から2隻を受注した。
三菱重工の宮永俊一社長は、2隻の豪華客船について「本当にすごい工事だ」と話す。同社はアイーダ・クルーズから度重なる設計や資材変更を求められ、建造に苦労している最中だ。すでに計1645億円の特損を計上しており、客船事業から撤退する可能性も浮上している。