【北京=河崎真澄】国際金融機関として史上初めて中国が主導するアジアインフラ投資銀行(AIIB)の開業式典が16日午前、習近平国家主席が出席して北京市内の釣魚台迎賓館で開かれた。英国など欧州の先進国やアジアの途上国など計57カ国が加わったが、日本と米国は参加を見送った。
同日は開業式典に合わせて開かれる総会で、中国財務省の元次官でアジア開発銀行(ADB)副総裁を歴任した金立群氏を初代総裁に正式選出。さらに参加国の代表から理事12人も選出し、運営体制を整える。
中国から欧州にかけての広域で鉄道網や空港、発電所や上下水道、通信設備などインフラ整備向け資金支援を行う。
一方、AIIBの資本金1千億ドル(約11兆7千億円)のうち中国が3割を出資し、融資案件への拒否権を単独で握る態勢となっており、国際金融機関としての透明性をどこまで確保できるかが課題だ。
AIIBは今年6月ごろまでに最初の融資案件を承認する計画。融資規模は初年度が最大20億ドル。その後5年は年100億~150億ドルの案件承認を見込んでいる。当面は日米主導のADBなどとの協調融資を行って融資ノウハウを蓄積する。