筒井康隆さん「モナドの領域」 世界の仕組み語るユーモラスな「神」

哲学の知識と小説技法を惜しみなく投入。「全部出して使い果たしたみたいなところがある」と話す筒井康隆さん (荻窪佳撮影)
哲学の知識と小説技法を惜しみなく投入。「全部出して使い果たしたみたいなところがある」と話す筒井康隆さん (荻窪佳撮影)

 「これまでためていた一番でかいものが、ドーンと出た感じですよね」。筒井康隆さん(81)は、新刊『モナドの領域』(新潮社)でユーモラスな「神」の姿を描き、人類や世界の成り立ちへと読み手の視線を誘っていく。高度な神学・哲学論をたっぷり注ぎ込み、ミステリーや笑い、涙も忘れない。希代のエンターテイナーの集大成ともいえる長編だ。(海老沢類)

 とある町で女性の片腕が見つかり、物語の幕は上がる。バラバラ殺人として捜査が始まる中、商店街のパン屋ではアルバイトの美大生が死体とそっくりの片腕をバゲット生地でつくって騒ぎになるが、事件との関係は見えてこない。やがてパン屋の常連客である美大の老教授が奇妙な行動をとり始める。これから起こることをずばり言い当て、自分は「神に近い存在」だと言う。全知の能力をもつ「GOD」が憑依(ひょうい)したらしい。冗舌なGODは一躍マスコミの寵児(ちょうじ)となり、世界の意外な仕組みを語り始める。

宇宙意志の存在

 「僕はバゲットが好きでね」と筒井さん。「あれは大きいから手の形に焼いたらおもしろい(笑)と思ったのが最初。でもそれだけじゃあ小説にならない」。ドストエフスキーの『カラマーゾフの兄弟』の神学論争の向こうを張るような法廷シーンやテレビ番組で、GODが開陳する哲学や神学論が興味深い。独哲学者ライプニッツにも触れながら、繰り返し語られるのは、世の中のすべてはあらかじめ決められていて変えることはできない-という思想だ。天災や戦争も例外ではない。そんな悲哀にみちた世界の成り立ちは事件の謎とも複雑に絡み合っていく。

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