東京海上日動火災保険は13日、北沢利文副社長(62)が4月1日付で社長に昇格する人事を内定したと発表した。永野毅社長(63)は代表権のある会長となるが、持ち株会社の東京海上ホールディングス(HD)の社長は続ける。事業環境の急変に備え、経験豊富な北沢氏をグループ中核会社のトップに据え、持続的な成長を目指す。
北沢氏はこの日、東京都内で開いた記者会見で、「保険会社の経営は決して平坦(へいたん)な道のりではない」と述べ、気を引き締めた。一方、「これまで保険が力を発揮してこなかった世界がいっぱいある」とも述べ、もう一段の成長に意欲を示した。
東京海上グループが持ち株会社と東京海上日動のトップを分けるのは初めて。永野氏は今後、グループ最高経営責任者(CEO)としてグループ経営に、北沢氏は東京海上日動の経営に専念し、改革を進める。東京海上日動の隅修三会長(68)は相談役に退くが、持ち株会社の会長は続ける。
同社グループは平成20年以降、海外でのM&A(合併・買収)に総額1兆7千億円を投入。今後は「中身のグローバル化」(永野氏)に向け、リスク管理などの分野ごとに最も精通した人材を責任者に起用する方針だ。