自民党がまとめたTPP対策への提言の大枠は、来夏の参院選での農業票の離反を抑えるために急ごしらえした感が否めない。農業の抜本的な強化につながる施策は見当たらず、党内からも不十分さを指摘する声があがった。農林水産分野では来秋に具体策を加える方針だが、中長期的な展望を欠けば、担い手減少など慢性的な課題を持つ農家からの批判がさらに強まる可能性もある。
「具体的な対策を取らないと、農家の不安は残る」「果樹や野菜、条件不利地域への対策まで書いてほしい」「10年間は補助金を下げないよう、政治的宣言をすべきだ」…。
同日開かれた自民党の農林関係会合で、TPP対策に対する提言の大枠に盛り込まれた農林水産分野の施策について、出席した多くの議員が不満感を示した。自民党は17日に農林水産分野の提言をまとめる。これに向け、大枠の内容を練り直すが、議員から「物足りなさ」を指摘されたことで対策づくりは出はなをくじかれた格好だ。
こうした意見に対し、同党の小泉進次郎農林部会長は「今日は第1案。TPPも成長する経済連携協定なので、対策も日々進化させる」と説明。「対策は1回で終わらない」と強調し、人材育成や輸出力強化の具体策を来秋にまとめる方針を示し、理解を求めた。
ただ、TPPによる影響試算を十分にしないまま対策を講じようとする政府に対し、農業関係者から「説得力に乏しい」と批判する声は根強い。今回の対策はTPPに絞っており、担い手農家の減少など国内農業が抱える根本的な課題まで十分踏み込んでいない。「対策の位置づけをしっかり説明しなければ、中長期的な対策を求める農家からは支持を得られない」と不安視する議員もいる。