農林水産省は3日、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)で輸入合板や製材の関税が撤廃されることを受け、地域木材の利用拡大を図る国内製材業などに対し、設備投資の費用を補助する方針を固めた。林道などの整備や森林の集約化など国内林業の体質強化費用を加え、平成27年度補正予算案に盛り込む。回復傾向にある木材自給率を下げないよう、国内木材の利用を促したい考えだ。
補助対象は原木を加工する各地域の製材工場や工務店など。国内各地の山林で伐採された地域材の利用量を増やすことや、各自治体が定める地域材の利用目標に沿った増産を実施することなどを条件に、生産性向上につながる設備の増設費や更新費を補助する。
複数の所有者の森林をまとめ、間伐や作業道の開設を効率的に行えるようにすることや、山林の伐採や原木の運搬を行いやすくするためのインフラ整備の費用も予算計上する考えだ。
大筋合意したTPPでは、マレーシアやカナダなどから輸入する合板や製材の関税が協定発効後11~16年目に撤廃される。関税は2~10%と農産物ほど高くないことや、輸入が急増すれば関税を引き上げる緊急輸入制限(セーフガード)が導入されることもあり、農水省は「TPPによる国内林業への影響は限定的」とみている。