首都圏の道路交通の円滑化などを目的に開発が進められている首都圏中央連絡自動車道(圏央道)の県内区間58・4キロが31日、全線開通する。今回、最後に開通するのは桶川北本-白岡菖蒲インターチェンジ(IC)間10・8キロ。国土交通省は「県内の全線開通は昭和60年の事業着手から30年かかった。物流拠点や工場の立地が進み、人々の暮らしを支援することになる」と期待を示した。(川峯千尋)
同省などによると、これに伴い、圏央道を経由して東名、東北道、関越道、中央道の4本の高速道路が直結。久喜白岡ジャンクション-茅ケ崎海岸IC間の所要時間は、首都高速を経由していた従来の約2時間20分から約1時間25分に短縮され、観光地へのアクセスが容易になるほか、定時性も高まるという。
同省と東日本高速道路は今回の開通区間を報道陣に公開。新たに開通する桶川加納ICから専用バスに乗り、同区間内で鉄道との交差部などを見学した。JR高崎線や国道17号と交差する桶川市内の住宅密集地では、交通状況や環境に配慮して約2・6キロにわたり地面を掘り下げる掘割構造を採用。JR上越・北陸新幹線との交差部では運行に支障が出ないように線路の上を通る高架構造となり、高さは最高で地上約25メートルになる。
圏央道の開通は、県内の経済面での活性化も後押しする。沿線地域は平成17~26年の10年間で企業の立地件数が86件から462件に増加。新規雇用も約6倍の約1万7700人増えた。特に、物流施設や製造業の進出が顕著で、米物流施設の大手「プロロジス」は昨春、川島ICのある川島町にテナント施設を開設。家具小売業大手「ニトリホールディングス」も、同社最大級となる物流センターを30年ごろに幸手市内で稼働させるという。
新たにオープンする「菖蒲パーキングエリア」は内回り・外回りの両方から利用できる集約一体型の商業施設で、ハナショウブをイメージしたデザインが魅力。圏央道のほぼ中央に位置する立地を生かし、土産コーナーでは福島県の「ままどおる」など圏央道がつなぐ各高速道路沿線の人気銘菓をそろえた。圏央道初の給油所も併設される。
同省の担当者は「観光や商業の発展だけでなく、周辺の一般道の交通環境も大きく改善される。経済に大きなインパクトを与えるはずだ」と力を込めた。