業界覆う悪習 残業嫌い効率優先か 前代未聞の三井不動産の傾斜マンション

 住宅ジャーナリストの榊淳司氏は「旭化成建材は、デベロッパーである三井不動産グループの下請けの立場になる。日本ではデベロッパーの命令は絶対なので、工期を守るため(旭化成建材の)現場監督は相当なプレッシャーを感じていたのかもしれない」と話す。

 通常、杭を打つ作業は5~6人で行われるが、現場の作業員は残業を極端に嫌う風潮があるといい、榊氏は「午後5時に作業を終了するため、効率を優先させた可能性もある」とみる。

 もちろん、モラルの高い現場もあるが、榊氏は「現場ではエンドユーザーに考えが及ばず、手抜きにつながるケースもある」とし、過去、別の工事現場で目撃した一例「シャブコン」を挙げた。

 「本来、水とコンクリートは強度を守るために一定の配合で混ぜなければならないが、水を多めに加えた方が型に流し込むのが簡単だ。そうして造られたマンションは、のちに雨漏りなどの不具合が発生する」

 建設業界では2005年、「耐震偽装問題」が発覚。後の調査で地震で倒壊の恐れのあるマンションやホテル計99件が建設、販売されたことが判明した。構造計算書を偽造した元一級建築士の名前から「姉歯事件」とも呼ばれた。

 榊氏は「杭は建物を支える重要部品であり、あの姉歯物件ですら問題とされなかった。今回の欠陥マンションに関しては、横浜の現場で監督を務めた人物の独断だったと信じたい。仮に、会社の先輩から代々伝わってきた不正であった場合は、大変なことになる」と語る。

 3000棟の調査が終わるころ、恐ろしい現実が待っているかもしれない。

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