■9月20日
非常識な愚行にあきれた。生活の党の山本太郎共同代表が18日、参議院本会議で繰り広げたパフォーマンスである。安全保障関連法案をめぐる与野党の最終攻防の中、安倍首相に対する問責決議案の採決で賛成票を投じたときだ。場違いの黒ネクタイに喪服姿で登場した彼は、極端にゆっくり歩き時間稼ぎする「牛歩」に1人で踏み切った。
さらに、焼香の動作を繰り返し、安倍首相や自民党議員に向かって数珠を手に壇上で合掌。与野党から「パフォーマンスはやめろ」とやじが飛んだが、否決後、山本氏は「自民党は死んだ。きょうは告別式だ」と興奮気味にまくしたてた。文字通りブラックジョークのつもりだったのかもしれない。
が、「牛歩」はまだしも、喪服パフォーマンスは人間の尊厳に対する思いが欠如している。「死ね」といじめる子供と同じレベルだ。遺影扱いされた安倍首相は表情を動かさなかったが、「失礼だ」と怒ってもよかった。そもそも、国民に選ばれた政治家が、国政を論じる場でする行為としては恥ずかしい限りだ。
山本氏は2013年、園遊会で天皇陛下に手紙を手渡そうとして、皇室の政治利用につながる行為と指弾されたことも。その際、参院から任期中の皇室行事への出席を禁止される処分を受け、「思慮深さが足りなかった。身勝手な行為だった」と語った。異なる事案とはいえ、あの反省の弁はどこへやら。与野党から懲罰動議を出されてもおかしくない。
元はNHK大河ドラマ「新選組!」(2004年)でも活躍した人気俳優。他に手段はなかったのか。20日は彼岸の入り。それこそ祖先の墓参りでもして、のぼせ上がった頭を冷やすといい。 (森岡真一郎)