外信コラム

北京春秋 「反日」恋愛ドラマ

 複数の中国のアイドルが出演した恋愛ドラマ「約会専家(デート請負人)」を見ていた際、飛び出したせりふに思わず耳を疑った。男性の主人公が複数の若い女性に、「海馬(タツノオトシゴ)は馬ではない。鯨魚(クジラ)は魚ではない。では日本人は?」と尋ね、笑いを誘ったのだ。

 「日本人は人ではない」とでも言いたいらしい。いまどき、こんな差別的発言が公然と電波に乗って流れていることにあぜんとした。

 中国のテレビ番組はすべて共産党の宣伝部門の厳しいチェックを受けており、少しでも政府批判のシーンがあればすぐに削除される。問題のせりふが残ったのは当局があえて見逃したか、あるいは、わざわざ入れさせた可能性もある。

 旧日本兵が中国の市民を虐殺する日中戦争をテーマとした反日ドラマが多く作られているが、ストーリーの陳腐さと、血なまぐさい場面が多いことから若者に敬遠され、あまり視聴率が取れなくなったという。

 政権の求心力を高めるために、どうしても日本という仮想敵がほしい習近平指導部が、青春ドラマを通じて日本人への憎しみを植え付けようとしたのかもしれない。中国国民の対日感情が悪化した本当の理由は、尖閣諸島や靖国の問題より、こうしたところにあるのではないか。(矢板明夫)

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