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陸上競歩コーチ・今村文男(4)技術ある者が勝っていく

今村文男(野村成次撮影)
今村文男(野村成次撮影)

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〈五輪は2000年シドニー大会に2大会ぶりに出場したが、事前のオーバーワークも響き、36位と振るわなかった。04年に現役を引退する〉

狙ったところでうまく力を発揮できなかったということが多いですね。余計なことをやっちゃうというか。総まとめだからと欲張って。

引退は37歳です。順天堂大の大学院に02年から通わせてもらったんですが、修士論文などの研究、順大の学生の指導、それに自分の練習となると時間が足りず、体のケアと補強の時間を削ったんです。結果、体がアンバランスな状態で練習して座骨神経痛になってしまいました。足が上がらなくて歩幅がでない。痛くて痛くて。04年の国内大会で、自分が指導に関わった後輩に敗れた。自分の中では一生懸命やったかなということでピリオドを打ちました。

世界選手権に7大会連続で出場しましたが、それは現状に満足することなく一つ一つ予選を勝ち抜いた結果です。常に向上の欲求を残しつつ競技と向き合うという考えが自分にはあります。まして今、世界記録を有する鈴木雄介に関わった現状で満足してしまったら、彼も僕自身も成長はないですから。

〈2020年に東京五輪が控える。メダル獲得の期待も大きい日本競歩界。指導者として今後、目指すところは〉

想定される優勝タイム、またはメダル圏内のタイムというものを僕なりに分析します。過去の大会だったり、選手個々のレースのパターン分析をしたりしながら。何年か前から日本選手は自己記録を出せば世界大会で入賞に届くとか、金メダルとか、そういうレベルに入ってきていますが、夏に行われる東京五輪では暑さへの耐性も重要なポイントになってきます。1日にどれだけ水分を補給しなければいけないか、炭水化物を取らないと練習で体調がどうだったか、乳酸値がどうだったか-など測定データを生かして、選手個人に特化したサポートをできるようにしないといけません。

私もずっと現場に関わっていけるわけではないので、この5年間は東京五輪に向けたタレント(才能)と指導者の育成、そして「技術ある者が勝っていく」ということを継承していきたいと思っています。

私の原点は、技術を高めていく中でこそ競技力は向上するということです。競歩は長距離を走る能力があるから速いという競技ではなく、技術があるから速くなるということを発信できたらと取り組んでいます。そういった中で、世界選手権、五輪のメダリストを育成していきたいという思いがあります。

時間はかかるけれど、最大の成果を高める。今はジャンプする前のしゃがんでいる期間なのかもしれません。ひたむきに、コツコツとやっていくことが大事だなと思いますね。(聞き手 宝田将志)

=次回は赤坂芸者の育子さん

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