格安航空会社(LCC)の国内最大拠点、関西国際空港がLCC偏重路線からの転換に躍起となっている。昨年度、国際線旅客数が過去最多となるなか、大手航空会社の就航便数を引き上げ、関空からの離脱の食い止めに動き始めたのだ。関空がLCC効果を契機に、さらなる飛躍を図っている。(中山玲子)
◆突然の方針転換
「今回は(国際線で)LCCを3割にする目標は掲げない」
平成27年夏期ダイヤを発表した、3月の記者会見。新関西国際空港会社の安藤圭一社長は強調した。LCCに特化した従来の路線から「LCCと大手航空会社の両方の便数を引き上げる」と方針の見直しを宣言したのだ。
これまでピーチ・アビエーションを手始めに、ジェットスター・ジャパンや中国・春秋航空の3社が次々と、関空を拠点空港に位置付け。ピーチなどが就航した約3年前から急速に利用者を増やしてきた。今年の夏期は、国際線に占めるLCCの割合が26・8%と国内主要空港で初めて25%を突破。成田空港の9・6%を大きく上回り、国内一のLCC空港となった。
空港間の競争が激化するなか、LCCに特化することで優位性を打ち出してきた関空。なぜ方針を変えるのか。関係者は「LCCとの競争激化による、大手航空会社の運休があるようだ」と打ち明ける。
◆価格競争で撤退
今年3月末、日本航空はソウル線の運航を取りやめた。全日本空輸も平成25年夏期から運休した。日航の2月の搭乗率は71・3%と平均的な水準を保ったものの、運休の背景には「価格競争があった」(日航広報)という。