主張

秘密保護法施行 機密と知る権利の両立を

 安全保障関連の機密の漏洩(ろうえい)を防ぐための特定秘密保護法が、運用基準の策定を経て施行された。「独立公文書管理監」など運用上の監視体制も動き出した。

 法律は日本や日本国民の平和と安全を守るために必要なものとして、昨年12月に成立した。予定通りの施行は妥当だが、何よりも適切な運用が重要であることを改めて指摘したい。

 国民の「知る権利」や報道の自由を損なう恐れがないか、との懸念が示されてきたからだ。

 安倍晋三首相をはじめ政府は法律の必要性を繰り返し、丁寧に国民に説明すべきである。

 なぜ特定秘密保護法が必要なのか。厳しさを増すアジア太平洋地域の安全保障環境に目を向けるべきだ。中国の急激な軍拡や国際ルールを尊重しない形での海洋進出、北朝鮮の核・弾道ミサイル開発などだ。

 日本が機密情報をしっかりと管理できなければ、アメリカや友好国は防衛や重大テロ関連の情報の提供を見送るかもしれない。日米共同の作戦計画や最先端の防衛装備の情報が流出すれば、日米同盟の抑止力は損なわれる。他の友好国にも迷惑をかける。

 法律が「息苦しい社会」「戦争する国」をもたらすといった批判は的外れだ。

 関係者の不注意やスパイの暗躍による機密漏れを防ぐことは、国や国民の利益になる。法律の趣旨を忘れてはなるまい。

 政府の運用基準は報道や取材の自由について「国民の知る権利を保障するものとして十分に配慮する」と定める。当然だが、「十分な配慮」には曖昧さが残る。取材行為に関する「著しく不当な方法によるものと認められないかぎり」という条件も不明確だ。

 恣意(しい)的運用を厳に慎むよう、知る権利や報道の自由の重視を求め続けねばならない。

 施行を受け、約40万件に及ぶ特定秘密の指定や、特定秘密を扱う公務員や防衛産業の社員らを対象とした「適性評価」と呼ばれる身辺調査が行われる。秘密を守る態勢の本格運用に向け、粛々と作業を進めてほしい。

 5年後の見直し規定もある。国民の権利が侵されないよう絶えざる検証が必要だ。宇宙開発にかかわる文部科学省が、特定秘密の指定19機関から外れている点については、再検討の余地がないか。

  1. 中露〝蜜月崩壊〟習主席がプーチン氏見捨てた!? 「ロシアの敗北は時間の問題」中国元大使が発言 インドの浮上で変わる世界の勢力図

  2. 名脇役の斎藤洋介さんが死去 69歳、人知れずがんで闘病

  3. ロシア大敗、反攻猛進撃のワケ ウクライナが東部要衝奪還、東京なら1・4倍の広さ 「プーチン大統領は四面楚歌状態」渡部氏

  4. 【許さない 未解決事件のいま】(3)ポツンと一軒家の惨劇 私的懸賞で解決願う長男 茨城高齢夫婦殺害

  5. 中村玉緒の息子・鴈龍さん、孤独死していた…55歳