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「すき家で働いている方 作り方を教えてください」
東京都の大学3年、明石祐太さん(21)=仮名=は、5月にアルバイトを始めた牛丼チェーン最大手の「すき家」で、想像を絶する労働環境に直面した。
勤務は深夜から早朝までの7~8時間。当初は2人態勢だったが、メニューの大半の作り方を教わらないまま、5日目には店を1人で任されるようになった。
接客し、注文を受けても、そもそも盛りつける牛肉の量が分からない。「すき家で働いている方に質問です。作り方を教えてください」。インターネット上のQ&Aサイト「YAHOO! 知恵袋」で、自分と同じように困惑した店員が投稿したらしい記事を見つけ、参考にした。
学生アルバイトが入れない時間には社員が来るが、複数の店舗との掛け持ちで家に帰れない人もいた。勤務が終わる午前6時、交代が来ないので電話したら「別の店に1人でいるので行けない」と言われた。駐車場の車で寝泊まりし、疲れきった顔で勤務をこなす先輩店員の姿も見た。
明石さんの店舗は駅前にあり、来店が絶えない。ゆっくりトイレにも行けないまま、調理、清掃などすべてを1人でこなす。「おかしいことばかりだけど、自分が辞めたら他の人がもっと苦しむと思うと、辞められない」。矛盾を感じながら働き続けてきた。
「10時間トイレ行けない」「2週間家に帰れない」
デフレの波の中で、牛丼業界では徹底的なコスト削減による低価格競争が繰り広げられてきた。中でも、すき家を運営するゼンショーホールディングスは、価格を抑え、店舗を拡大する路線で業績を伸ばしていった。その陰で、従業員は常軌を逸するような過酷な労働を強いられてきた。