東京・千代田区一番町のとあるビル。ここにJIMCAのオフィスがある。通された部屋には壁に6枚の映画ポスターがずらりと掲げられていた。これから日本で公開される米メジャー6社の新作映画ばかりだ。JIMCAは6社の知的財産権を保護するための米組織「モーション・ピクチャー・アソシエーション」(MPA)の、いわば日本支部にあたる。
JIMCA広報・渉外本部長の村上裕之さんは「『映画泥棒』のPR効果は大きい」と語る。MPAによると、05年の盗撮による日本国内の年間推定被害額は180億円に上っていた。しかし映画盗撮防止法の施行後、国内の映画館で米メジャー6社の作品が盗撮された例は、「具体的な作品名は伏せるが」と前置きした上で、2009年に公開されたベストセラー小説を映画化したトム・ハンクス主演のミステリー大作を最後に報告されていないという。
また盗撮とは別に、12年10月からインターネット上にアップロードされたテレビ録画や市販の作品を違法と知りながらダウンロードすると、2年以下の懲役、もしくは200万円以下の罰金、またはその両方が科せられることになった。違法アップロードは親告罪で、権利者からの告訴がないと公訴を提起できない。JIMCAでは、MPA加盟映画会社の作品の映画ファイルを違法にアップロードした人物に対して所轄の警察に告訴状を提出し、毎月のように逮捕者を出している。7月に群馬県警などが逮捕した埼玉県の男=当時(48)=は、週末の土日に集中して大作・話題作をアップロードして報酬を得ていた。JIMCAはインターネットの監視をしており、ホームページで提供を求めている違法行為の情報は、年に数千件に上る。