プーチン政権がウクライナへの融和路線に転じる構えを示した背景には、追加制裁の姿勢を崩さない欧米諸国との関係改善を図る狙いもあるとみられる。
ロシアでは昨年来、国民のプーチン人気の原動力となってきた経済成長に陰りが見え、今年はウクライナ危機のあおりを受けてマイナス成長に転じる恐れを指摘する声も出ている。ポロシェンコ政権の背後にいる欧米諸国との対立を和らげることは、自国経済を悪化させる不安定要素の解消にもつながる。
これに先立ち、ポロシェンコ氏は23日、親露派勢力の拠点であるドネツク州庁舎で円卓会議を開いた。欧州安保協力機構(OSCE)代表とウクライナ駐露大使を仲介役とし、ポロシェンコ氏の要請を受けたクチマ元大統領や親露派勢力幹部が一堂に会し、27日までの戦闘停止で合意した。
ロシアの外交評論家のルキヤノフ氏は、この会議で「ウクライナ政府が親露派勢力の政治的正当性を間接的に認めたことになる」と指摘、政府側が親露派に譲歩する姿勢を示したとの見方を明らかにした。
両国では、今回の動きは緊迫化する一方だった東部情勢が正常化に向かう契機になると評価されている。