日本酒醸造に関する最古の記録とされる「播磨国風土記」などをもとに、「日本酒発祥の地」としてアピールを続けている兵庫県・播州の4酒造組合で作る「はりま酒文化ツーリズム協議会」が、風土記で記された酒造りの舞台と考えられている庭田神社(宍粟市一宮町能倉)で、新たに採取した酵母菌や麹菌を使って醸造した酒「庭酒」が限定発売される。
発売元は、2月に播州地域の酒蔵が新酒を振る舞うイベントで試験醸造した「庭酒」を披露した田中酒造場(姫路市広畑区本町)。同社は、中世に大寺院で造られていた僧坊酒などの記録が残る「多聞院日記」などを参考に、戦国時代の醸造法を取り入れた「大和武士」も数量限定で新発売する。
「庭酒」は最も古く単純な醸造法とされ、蒸した米と麹(こうじ)、水を一度に仕込む「一段掛け」を、「大和武士」は2回に分けて仕込む「二段仕込み」を、それぞれ取り入れた。いずれも現在主流の醸造法より単純な手法で、同社の田中康博社長(61)は「どちらも今までにない味わいだと思う。苦労は多かったが良い酒に仕上がった」と笑顔で話す。
いずれも500ミリリットル入りで1080円(税込み)。
「庭酒」は限定400本、「大和武士」は同700本。問い合わせは田中酒造場((電)079・236・0006)。