■私の履歴は終わっていない
〈電卓開発で名をはせた研究者は「共創」という考えにいきついた。独創より共創。そんな考え方を広めるため「新共創産業技術支援機構」というNPOを立ち上げ、事務局長らとともに各地を訪問している〉
共創とは、異なる会社や組織と信頼関係を持ちながら共に創るという考えです。私のところに相談に来る人には、1社だけで競争に勝てる時代は終わったことを説いています。パソコンを見てください。メーカーがハードを開発しても、それを動かすソフトがないと機能しません。事前に情報を伝え合い、発売したときにはソフトがそろっているという風にしないといけない。秘密に固執して失敗した会社はたくさんあり、実はシャープもパソコン開発で痛い経験をしました。もうそのような時代ではない。だから、私はできるだけ多くの人と会うようにして共創の重要性を話しているのです。
〈早川電機工業(現シャープ)にスカウトされたのが49歳のとき。シャープを70歳で退き、その後も自分でいくつもの研究施設などを設立した。遅咲きではない。若いときから猛烈に働き、年齢を重ねてもその歩みを止めようとしない〉