湯浅博の世界読解

南シナ海は巨竜の聖域か

北京に米軍制服組トップのデンプシー統合参謀本部議長を迎え、中国人民解放軍の房峰輝総参謀長は「中華民族の再興」のキャッチコピーを表明したのだろうか。あるいは、米国の「アジア回帰」政策に対して、「海洋の戦略抑止力を手にした」とでも通告したか。

北朝鮮の跳ね返りを押さえ込むため、当面は米中の連携や信頼醸成のタテマエしか伝えられない。だが、互いのホンネは違う。北の核開発どころか、海洋覇権を狙う中国は西太平洋の勢力圏拡大で、米国の利益とぶつかるからだ。中国の対米核戦略を考えれば、焦点は南シナ海である。

中国政府が2年ぶりに発表した2012年版国防白書で、核兵器を相手より先に使用しないとする「先制不使用」が削除されたことから、新たな疑惑を生んだ。

今回の国防白書は「核兵器による攻撃を受けたときには核ミサイルを使用し、断固として反撃する」と決意を表明していた。その上で、白書から「先制使用しない」という従来の表現を削除したのはなぜか。

デンプシー議長の訪中前、カーネギー米国際平和財団のI・レーマン研究員が論文で、習近平国家主席の中国を「バスタブで暴れる竜」にたとえた。中国海軍という巨大な竜が、南シナ海というバスタブで「ここは俺さまの海だ」とあちこちで頭をぶつけているさまを描いた。

この巨竜は、「南シナ海全域の支配を望んでいるわけではなく、わずか80%の支配を求めているだけだ」(呉士存南海研究院長)と豪語して、沿岸国との衝突もいとわない。8割といえば全域の支配と同じだから「小国をあなどる詭弁(きべん)」というしかない。

レーマン研究員は中国の元高官と議論した際に「領土問題も重要だが、われわれの主たる関心は将来の海洋抑止力の生き残りにある」と語ったという。戦略原潜の基地となる海南島を巣穴として、巨竜がこのバスタブを自由に泳ぎ回る聖域化戦略である。

  1. MEGA地震予測「いま最も危ない」3ゾーンはここだ! 村井氏「震度6程度が1~2月に発生する可能性」

  2. 中国に「大変失望した」 WHOテドロス事務局長が表明

  3. 広島・長野、約8000万円の超高級車で球場入り「最高です」

  4. 【底辺キャバ嬢の盛り場より愛を込めて】困窮女性の大量参入で「ヤバいパパ」が急増 シャワー浴びてる間に財布からお金を盗み逃走

  5. 【衝撃事件の核心】屈強な「佐川男子」、暴力団員すら圧倒 世にも奇妙な恐喝未遂事件の一部始終