北朝鮮は八月三十一日昼過ぎ、弾道ミサイル一発を発射した。ミサイルは二段式とみられ、一部分はロシア・ウラジオストク南方の日本海の公海上に落下、弾頭部分が日本を越え、三陸東方沖の太平洋上に着弾したもよう。北朝鮮による弾道ミサイルの試射は平成五年五月にノドンミサイルが日本海に発射されて以来だが、日本を越えたのは初めてのことであり、政府は安全保障上、重大な脅威と受け止めている。このため、北朝鮮に厳重に抗議するとともに、ミサイル開発の進行や実戦配備の阻止に向け、米国や韓国などと緊密に連携して対応する方針だ。
政府、厳重に抗議
野中広務官房長官は三十一日夜、現時点での諸情報を総合的に分析した結果として、同日午後零時過ぎに北朝鮮東部沿岸から発射された弾道ミサイルが、三陸沖の公海に弾着した可能性がある-とのコメントを発表した。
ミサイルの発射情報は三十一日正午過ぎ、在日米軍司令部から防衛庁に早期警戒情報として入った。その段階では、発射時刻は午後零時七分、着弾時刻は午後零時十二分とされ、着弾予想地域は日本海の北緯四〇度五四分、東経一三四度三分とされた。ところが、同日夜になって、政府筋がミサイルの一段目が日本海に落ち、弾頭とみられる部分が三陸沖に着弾したことを明らかにした。
今回の事態を受けて、日本政府は三十一日夜(日本時間)北朝鮮の国連代表部に対し、厳重に抗議した。
日本政府は、八月中旬に在日米軍からミサイル発射実験の可能性について通報を受け、北朝鮮に対し発射実験を行わないように複数の外交ルートを通じて要請。同時に自衛隊がレーダー監視や護衛艦による日本海での警戒活動を強め、米軍も監視体制を強化していた。
北朝鮮は平成五年五月に能登半島沖の日本海に向かって弾道ミサイル「ノドン」の発射実験を行い、八年十月にもノドンによる実験準備をしながら中止した経緯がある。「ノドン」の射程距離は約一千三百キロとされる。八月中旬の米軍からの情報では、北朝鮮が新たに開発中の「テポドン1号」の試射を行うのではないか、とされていた。テポドンは最大射程距離が二千キロといわれ、今回のミサイルが日本を飛び越えたことで、テポドンである可能性が高く、テポドンとすれば発射実験が確認されたのは初めて。
【ソウル31日=喜多由浩】一日付の韓国紙、東亜日報早版は、北朝鮮が三十一日に試験発射した弾道ミサイルの着弾点は、日本の東北沖の太平洋の公海上であることを韓国政府が確認したと報じた。
同紙によると、ミサイルの着弾点は、北朝鮮の発射基地から、千三百八十キロ離れた日本の青森県三沢市の北東約五百八十キロの地点で、北緯四〇度一一分、東経一四七度五〇分としている。
また、朝鮮日報早版は、韓国政府消息通の話として、同様の報道をしている。