米で10歳以下“ヘディング禁止令”! 日本ではどうなる?

米サッカー協会が10歳以下のヘディングを禁止する新規定を発表した。子供のヘディングはかねてから脳しんとうなどの因果関係も指摘され、是非が論じられてきた。日本の子供にも禁止論が及ぶのか、注目される。

《脳しんとう(脳振盪)》
頭部への外的衝撃で脳が揺さぶられ、機能が一時的に低下する症状。一部の球技や格闘技などで起こりやすいほか、ボールや設備、地面にたたきつけられて起こることも。死亡したり、重い障害が残る恐れもある。〔日本経済新聞

米サッカー協会が新規定

協会傘下のユースチームなど対象「10歳以下のヘディング禁止」

米サッカー協会が10歳以下のヘディングを禁止すると発表。対象は同協会傘下の米ユース代表チームやメジャーリーグサッカーのユースチーム所属者らも対象で、協会傘下団体以外にも同様の対応を取るよう強く促した。

10歳以下のヘディング禁止、サッカー協会が新規定 米〔2015年11月11日 CNN〕

11~13歳のヘディング練習回数も制限。試合中に脳しんとうの疑いが出た選手の一時的交代も容認へ

新規定では、11歳から13歳の年代もヘディングの練習回数が制限されることになる。そして、米サッカー協会は試合中に脳しんとうの症状の疑いが出た選手の代わりに、一時的な交代を認める計画も進めている。

10歳以下のチームはヘディング禁止 アメリカサッカー連盟が新ルール導入へ〔2015年11月11日 ZONE WEB〕

発端は集団訴訟…社会問題化する脳しんとう

2014年夏、子供の脳しんとうリスク軽減など求めた訴訟が和解

新規定は、脳しんとうを起こした子供の保護者らが、米サッカー協会などを相手取った訴訟の和解(2014年8月)を受けた措置といえる。両親らが、同協会に対し、子供の頭部の故障の治療と調査に関する怠慢さがあったとして、訴えを起こしていた。

10歳以下のチームはヘディング禁止 アメリカサッカー連盟が新ルール導入へ〔2015年11月11日 ZONE WEB〕

NFL集団訴訟では1200億円賠償!脳しんとう訴訟の衝撃

米NFL(プロフットボールリーグ)元選手4500人がNFLを訴えた訴訟は、NFLが賠償金総額1200億円を支払うことで和解。引退した約2万人のうち、将来的に6000人に認知症などになる恐れがあると推定されるという。

NFL集団訴訟、健康被害で和解 賠償金計1200億円 〔2014年4月23日 日本経済新聞〕

「米サッカー界は非常に素早い対応を取った」(米スポーツマーケティング会社代表)

米国に拠点を置くスポーツマーケティング会社「トランスインサイト」代表の鈴木友也氏によれば、米国では脳震とう訴訟がNFLから他競技に、プロからアマチュアに「急拡大」、またそのダメージに関する医学的根拠も明らかになってきたことを背景に、「各スポーツ統括組織や学校管理団体などがその予防や対処について積極的に対応するようになってきた」という。「米サッカー界は非常に素早い対応を取った」と評価する。

米サッカー協会によるヘディング禁止措置の衝撃〔2011年11月13日 BLOGOS〕

「脳にダメージ」相次ぐ調査報告

「高い頻度で長期間ヘディングを続けると、外傷性脳損傷に近い変化が脳に起きる」(米ヨシーバ大研究者)

米ヨシーバ大医学部グラス磁気共鳴研究センターの研究者らは、全員が子供の頃からサッカーを続けているという32人(平均年齢30歳8カ月)を対象に脳の状態を分析したところ、年間約1000~1500回以上ヘディングする選手の記憶力や注意力などをつかさどる脳の領域に、外傷性脳損傷患者と似た異常が認められたという。

ヘディング、年1000回以上で脳損傷の恐れ 米研究者が調査結果〔2011年12月1日 日本経済新聞〕

「頭部に40~50Gの力」「アマチュアボクサーのパンチに相当」と研究者

正しい姿勢などをとれない子供の場合、頭部には「40~50Gの力がかかる」とボストン大のロバート・カントゥ教授。英インペリアル・カレッジの研究では、その力はアマチュアボクサーのパンチに相当するという。

ヘディングが子供の脳を壊す?〔2014年4月24日 Newsweek日本版〕

「サッカーをする生徒は、しない生徒よりもコンピューターゲームでポイントを獲得するのが遅い」(米テキサス大研究者)

英紙デイリー・メールによると、学術誌に発表された米テキサス大の研究で、中等学校の生徒たちにコンピューターゲームをさせたところ、サッカーをする生徒は、しない生徒よりもポイントを獲得するのが明らかに遅かった。Anne Serrano博士は「ヘディングが脳に微量な損傷を与えているためでは」と語る。

サッカーは危険なスポーツ??ヘディングは脳にダメージを与えることが判明:米調査〔2013年2月28日 IRORIO〕

「脳へのダメージが認められなくても、自律神経が障害される可能性」(東京脳神経センター理事長)

東京脳神経センター理事長の松井孝嘉氏は、「高速で飛んできたボールを頭で押し込むと、その力に負けまいと首が踏ん張る。度重なるヘディングで、首はムチ打ち症状態になり、首の内部を通る自律神経が障害され、さまざまな症状が表れる(マイナー・ヘッド・インジュリー症候群)」と説明する。

米サッカー協会が回数制限 ヘディングは脳や首にどう影響?〔2015年11月14日 日刊ゲンダイ〕

一方で「禁止」への疑問、異論も

ゴール前のセットプレーは?「弱体化」懸念も

ヘディングはれっきとした得点手段だけに、禁止となるとセットプレーからのゴール前の接近戦はどうなるのかといった疑問や、米サッカーの弱体化を懸念する声も。

米サッカー連盟、10歳以下の選手のヘディングを全面禁止に〔2015年11月13日 SankeiBiz〕

脳しんとう、原因は「ヘディングより『接触』」(米コロラド大研究グループ)

米コロラド大の研究グループが2015年に発表した論文によると、過去9年に全米の高校生の選手が、試合や練習で他の選手と接触して脳しんとうを起こした例は、男女共にヘディングの倍以上だったとする。研究チームは、ヘディング禁止よりも選手同士の接触を減らす方が脳しんとう防止に有効だと指摘している。

サッカーで脳震とう、「ヘディング」よりも危険なこと〔2015年8月18日 Medエッジ〕

フランスで行われたサッカーの試合の1シーン。ヘディングに関連する接触プレーで引き起こされる脳しんとうも多い=2015年11月8日、フランス・リヨン(AP)

フランスで行われたサッカーの試合の1シーン。ヘディングに関連する接触プレーで引き起こされる脳しんとうも多い=2015年11月8日、フランス・リヨン(AP)

米の「措置」を受け、各国サッカー協会は?

日本協会「現在のところ対応は特に考えていない」

日本サッカー協会は、米側の動きを受けた対応は「現在のところ特に考えていない」という。

米サッカー協会:10歳以下ヘディング禁止 脳しんとう防止〔2015年11月13日 毎日新聞〕

イングランド協会「近々、頭部のケガに関して、新規定を提示する」

イングランドサッカー協会(FA)は、英紙デイリー・メールに対し、「近々、頭部のケガに関して、外部の有識者によって作られる新規定を提示する。しかし、それはFIFA(国際サッカー連盟)などによって統括されたプレーの指針のようなものとは無関係である」と述べている。

Heading the ball to be banned for children under the age of 10 in America〔2015年11月15日 Daily Mail(英語)〕

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